TAIJUPORTFOLIO

一人の事業を、
AIの組織で経営する。

DeNA 新卒 AIジェネラリストコース 提出作品

大学在学中に個人事業を開業し、株式分析・コンテンツ事業・生活基盤の運用を、 役割分担されたAIエージェントの「組織」として設計しました。 判断・検証・実行を分業させた組織はクラウド上で毎日定時に自律稼働し、 人間である私は意思決定と承認だけを担っています。

大寿 / TAIJU 早稲田大学 教育学部 在学(2028年3月卒業見込)/ 個人事業主
  • マルチエージェント設計
  • MCPサーバー自作
  • 情報設計・UI
  • データ分析
15
運用中のAIエージェント定義
4
職能別に配置したAIモデル
2/日
クラウド定時ルーチン(朝・夜)
12+
自作MCPサーバーのツール数
4
失敗を分類するミス類型
18
蓄積された学習パターン

PHILOSOPHY

AIを「賢い道具」ではなく、
「組織」として設計する。

一人の人間が扱える情報量と時間には限界があります。その限界を超える方法として私が選んだのは、 AIに指示を出すことではなく、AIたちに役割と権限を与えて組織をつくることでした。 指示書・報告フォーマット・承認フロー・失敗の記録方法—— 会社に必要なものを一つずつ設計していくと、AI活用は「プロンプトの工夫」から「経営とデザインの問題」に変わります。

PRINCIPLE 01

役割の分離

判断するAIと、それを検証するAIを必ず分ける。同じ知性でも、立場を分ければ過信は構造的に防げる。株式分析では「ブラインド批評役」がこの原則を体現しています。

PRINCIPLE 02

権限の設計

お金・公開・外部への送信に関わる操作は、どれほど自動化が進んでも人間の承認を通す。「どこまで任せ、どこで止めるか」の境界線こそが、AIシステムの体験の核だと考えています。

PRINCIPLE 03

失敗の資産化

ミスは責めずに分類する。毎晩の自己採点で失敗を4つの類型にタグ付けし、週次で傾向を分析して各エージェントの指示書に還元する。組織は失敗の記録の分だけ賢くなります。


CASE 01

株式分析AI組織

MULTI-AGENT MARKET ANALYSIS SYSTEM

日本株の翌日戦略を毎朝自動生成し、夜にその日の実際の値動きで自己採点して学習を蓄積するマルチエージェントシステム。 PCの起動に依存せず、クラウド上の定時実行だけで組織として毎日回り続けることを設計目標にしました。 分析手法には、需給と出来高の同調・セクター資金循環などを重視する日本の投資技法(JP法)を採用し、 その判断基準をエージェントの指示書として言語化しています。

FIG. 01

組織図 — 役割と権限で分けた15のエージェント

全体統括「社長」 OPUS
部門横断の優先順位づけ・週次レビュー
株式分析 部門
翌日戦略の生成と検証
  • 地合い読みFABLE市場全体の環境認識
  • 銘柄選定FABLE候補の絞り込みと選定
  • 銘柄検討FABLE個別銘柄の深掘り分析
  • セクター解説SONNET資金循環ブリーフの作成
  • 批評役(ブラインド)FABLE独立判断による相互検証
  • 統合・配信HAIKU戦略書の整形とSlack配信
  • 夜間採点OPUS答え合わせ・ミス類型タグ付け
コンテンツ事業 部門
発信と収益化の運用
  • 記事企画(note)SONNET読者ペルソナ別の企画・下書き
  • SNS運用SONNETプラットフォーム別の投稿設計
  • 配信パイプラインGAS自動投稿と人間承認の振り分け
生活基盤 部門
個人の運用基盤(→ CASE 02)
  • 生活OSルーチンHAIKUタスク盤面の夜間再生成
  • スケジュール統合MCPカレンダー・タスク双方向同期
  • 週次メタ分析FABLE組織全体のミス傾向レビュー
モデル配置: FABLE中核判断 OPUS採点・統括 SONNET要約・生成 HAIKU集約・定型
FIG. 02

1日のオペレーション — 人間が寝ていても組織は回る

  1. 07:00
    朝ルーチン
    スクリーニング → ブリーフ生成 → 3エージェント並列判断 → ブラインド批評 → 統合した戦略書をSlackへ配信
  2. 08:30
    死活監視
    配信の失敗を検知して通知。「静かな故障」を作らないための監視役
  3. 16:30
    夜ルーチン
    当日の実際の値動きで戦略を自己採点。ミスを類型タグ付けし、銘柄ごとのカルテに追記
  4. 21:30
    盤面の再生成
    生活OSが翌日のタスク盤面を再構成(CASE 02)
  5. 日 20:00
    週次メタ分析
    1週間のミス傾向を分析し、各エージェントの指示書改訂案を作成。反映は人間の承認制
POINT 01

モデルの適材適所 — コストと精度を「職能」で割る

全員をエースにすると経費で潰れ、全員を新人にすると判断が緩む。会社と同じです。 AIモデルも能力とコストが違うので、仕事の性質ごとに配置を分けることを設計の中心に置きました。

職能担当モデル配置の理由
中核判断FABLE地合い・銘柄の最終判断。誤りのコストが最も高い工程に、最上位モデルを集中投下する。
検証・採点OPUS / FABLE判断した系統と別のモデル・別の文脈で採点し、身内びいきの評価を避ける。
要約・解説SONNET大量の市況情報を判断用ブリーフに圧縮する工程。速度と品質のバランス重視。
集約・定型HAIKU整形・配信などの定型処理は最軽量で。ここに高級モデルを使うのは経営判断として誤り。
POINT 02

ブラインド批評 — 過信を「構造」で防ぐ

AIの分析はもっともらしく見えるほど危険です。そこで判断チームとは別に、 同じ材料だけを渡され、結論を知らされないまま独立に判断する批評役を置きました。 2つの独立した結論を突き合わせ、割れた箇所だけを人間が重点確認する—— レビューを「気合」ではなく「構造」にするための設計です。

共通ブリーフ
市況・需給・セクター情報を同一資料に圧縮
判断チーム
戦略を立案
批評役(ブラインド)
結論を見ずに独立判断
突き合わせ
一致=配信へ/不一致=人間が重点確認
POINT 03

ミスの類型化 — 失敗を翌日の判断に食い込ませる

夜の自己採点では「当たった/外れた」で終わらせず、外れ方を必ず4つの類型に分類します。

地合い誤読 需給誤読 セクター循環ミス しこり見落とし

タグは銘柄ごとのカルテと相場観ログに蓄積され、週次のメタ分析が頻度の偏りを検出します。 「最近この組織は地合いを楽観しすぎる」といった傾向が見えたら、該当エージェントの指示書に反映する—— この改訂サイクルを1か月回して、18の学習パターンが組織の共有知になりました。

学習ループ:採点でタグ付け → 週次で頻度分析 → 指示書の改訂案 → 人間が承認 → 翌週の判断が変わる
毎朝Slackに配信される戦略書の実際の画面
FIG. 03 — 毎朝07:00にSlackへ届く戦略書。結論先出し・根拠・確度を1画面に収める情報設計

※ 本システムの役割は予測の生成と検証までに限定しており、売買の執行は常に人間が行います。設計上もAIに発注権限は与えていません。


CASE 02

生活OS

PERSONAL OPERATING SYSTEM ON MCP

予定・タスク・習慣・日記を一元管理する、自作の個人運用基盤。 Cloudflare Workers上にMCPサーバーとして実装し、 スマホのAIアシスタントとPCのAIエージェントが同じデータを読み書きできるようにしました。 既製のタスク管理ツールは「人間が入力する」前提で作られていますが、 これからの個人基盤は「AIが主な入出力者になる」前提で設計し直せるはず——その仮説の実装です。

FIG. 04

アーキテクチャ — どこからでも、人もAIも同じ帳簿に書く

スマホのAI
外出先での記録・相談・予定操作
⇄ MCP
自作MCPサーバー
Cloudflare Workers / TypeScript
12+ツール・承認フロー・ダッシュボード
⇄ Git
GitHub上の帳簿
全データをプレーンテキストで所有
PCのAIエージェントも同じ帳簿を編集
外部同期:Googleカレンダー/Googleタスクと双方向同期。同期元を示すマーカーをデータ側に埋め込み、二重登録と上書き事故を防ぐ
POINT 01

状態モデルの設計 — 思いつきを捨てず、暴走もさせない

あらゆる思いつきは、まず「生」のままインボックスに落ちます。 そこから実行に至るまでを4つの状態で管理し、実行の直前に必ず「承認待ち」という関所を置きました。

整理済み 承認待ち 🔒 完了

AIは整理と提案までを自走し、関所から先へは人間の一押しがないと進めない。 「記録は摩擦ゼロ、実行は必ず有人」という非対称な設計が、安心して任せられる感覚をつくります。

POINT 02

権限境界のデザイン — 任せるほど、境界線がUXになる

自動でやってよいことと、人間の承認が要ることを明文化し、システム全体の共通ルールにしています。 この線引きはCASE 01の株式分析組織にもそのまま適用されています。

AIが自動で行ってよい

  • 記録・分類・タグ付け
  • 予定やタスクの整理・提案
  • 下書き・分析レポートの生成
  • データの読み取りと同期

人間の承認が必須

  • コードのデプロイ(本番反映)
  • SNS・記事の公開投稿
  • お金が動く操作すべて
  • 外部へのメッセージ送信
POINT 03

ダッシュボードUI —「夜の手帳」というコンセプト

ダッシュボードは1日の終わりに開く道具です。だから昼のツールのような白い画面ではなく、 暗い紙面に手帳の密度を持たせた「夜の手帳」をテーマにしました。 中心となるログビューは、予定と実績を左右に並走させるデュアルレール。 「計画と現実のズレ」を、読む前に見えるかたちにするための情報設計です。

生活OSダッシュボードの実際の画面
FIG. 05 — 実装したダッシュボード。下部5タブ(ボード/タスク/習慣/明日/ログ)で親指の可動域に主要操作を集約

ON DESIGN

私にとってのデザインは、
人とAIのあいだの「信頼の設計」です。

2つのケースを通じて向き合ってきたのは、画面の見た目そのものよりも、 人がAIをどこまで信頼してよいかを、かたちで示すことでした。 承認フローの置き場所、毎朝届く1通のフォーマット、失敗の見せ方—— これらはすべて、AI時代のプロダクトデザインの中心課題になると考えています。

一 ・ 情報の優先順位

読む時間から逆算する

朝の戦略書に人間が使えるのは3分。だから結論を先頭に、根拠は3行に、確度を明示する。フォーマットの設計は、受け手の時間の設計だと捉えています。

二 ・ 権限と関所

止まる場所を先に決める

自動化の価値は「どこで止まるか」で決まる。危険な操作の手前に必ず関所を置き、承認の一押しに責任を集約する。安心は機能ではなく構造から生まれます。

三 ・ 継続の設計

仕組みが人を続けさせる

習慣のストリーク表示、夜に自動で整う翌日の盤面、ズレを責めないログビュー。意志力に頼らず続く状態をつくることも、デザインの仕事だと考えています。


PROFILE

プロフィール

早稲田大学 教育学部 在学(2023年入学・2028年3月卒業見込)。 在学中に個人事業を開業し、事業運営とシステム構築に専念するため計画的に休学を選択しました。 株式市場の分析、コンテンツ事業の運営、そしてそれらを支えるAI組織づくりが現在の活動の中心です。

原点にあるのは「一人でどこまでの規模を経営できるか」という問いです。 AIの登場でこの問いの答えは大きく変わりました。 自分自身を最初のユーザーとして、AIと人が役割分担する働き方の実験を毎日続けています。

事業の外では、写真(コンパクトデジタルカメラでの街撮り)と、 ライブ・音楽フェスに足を運ぶことが好きです。 市場もタイムラインも、定点で観察し続けると構造が見えてくる——という点で、趣味と仕事はつながっている気がしています。

  • AI / AGENTマルチエージェント設計・プロンプト設計・モデル選定(Claude各モデルの職能別配置)・評価と改善サイクルの運用
  • MCP / INFRAMCPサーバー自作(Cloudflare Workers・TypeScript)・GitHubを核としたデータ設計・定時ルーチンの運用監視
  • DATAPython(pandas・市場データ取得と分析パイプライン)・予測と実績の突き合わせによる精度検証
  • AUTOMATIONGoogle Apps Script(Slack連携・配信自動化)・Googleカレンダー/タスクAPI双方向同期
  • DESIGN / FE情報設計・ダッシュボードUI(HTML/CSS/JavaScript)・本ポートフォリオサイトの設計と実装